想 展 近藤育世
作家ごあいさつ
若い頃の作品です。
トキワ松学園女子短期大学造形美術工芸科(現・横浜美術短期大学)で、七宝焼は七宝作家、佐野登志子先生、鍛金は中村薫一先生、帖佐美行先生、望月正子先生と、素晴らしい先生方に恵まれ卒業後もご指導を頂いて制作いたしました。 作品展をするなど思ってもいませんでしたので、制作年も題名も思い出せません。
七宝の大きな作品は、七宝の電気釜では無理なので、庭に耐火煉瓦で炉を築き、私の勝手な命名ですが「野焼き」しました。釉薬が溶けるためには800度の熱を必要としますので、薪で燃し、銅版の上にスレートや石綿をのせました。スレートは熱くなると割れて跳ねたり、石綿は釉薬にくっついたりしました。その上、炉から下ろす時は四隅を火鋏で持ち、四人がかりでした。
銅版は、七宝の前にエッチングや鍛金を施しました。
エッチングは、大きいものは器に入れる事ができず、硝酸をかけると黄色い煙が流れて、その風でデニムの作業エプロンが洗うとボロボロになるなど、危険一杯の作業です。恐いもの知らずで夢中でした。今思えば「若かったから」の一言です。
書は、弦田康子先生に師事し、その折々の事など、楽しみながら書かせて頂きました。
本展のすべての作品は、制作の苦労と共に、自分の想いがつまっています。今頃、思いもかけず皆様に見て頂ける幸せを、心より感謝です。本当にありがとうございます。
また、出展にあたって多くの方々に御世話をいただき、有難い事でした。厚く御礼申し上げます。
近藤育世
近藤育世 略歴
大阪府出身
八尾女学校入学 八尾高校
大阪府立清水谷高校卒業
1968年 横浜美術短大入学
1970年 三軌会 初出品 以降
三軌会 神奈川県展、現代工芸展に出品
神奈川県展 実行委員 3期
神奈川県展 審査員 1期
現在 現代工芸展会員 神静会会員