織田文昭 個展
ご挨拶
素人の描いた拙い絵画をご覧いただき、ありがとうございます。 私はもう20年以上も前、地元福井のカルチャー教室で、絵画を始めました。教室の先生は、中学や、高校の美術館教師を、定年退職された人たちでしたが、病気になられたり、生徒とけんかになったりで、次々と代わっていかれました。
それでマイケル・ドランの編集した『セザンヌとの対話』と、ジャコメッティの『エクリ』を私の教科書にして、絵の勉強を続けました。 とりわけジャコメッティの流動的な線のデッサンに激しくひかれました。「私は野心家ではない。ただ目に見えるものを、見えるとおりに描きたいだけだ。しかし、それが不可能なくらい難しい。」と、ジャコメッティは矢内原伊作に語りました。 ジャコメッティの線によるデッサンは、デフォルメされていますが、人の姿をとらえようとする目の動きを忠実になぞっており、ルネッサンス以来の幾何光学的遠近法やアカデミックなデッサンより、はるかに人間の自然な知覚に近いのです。
いわばまなざしのレアリスムがあります。「私以外のだれも今では写生で描こうとしないのは、そんなことをすればクールベやピサロのできそこないのような、ものすごく陳腐な絵にしかならないだろうと、みんな恐れているからだ。」と言いました。彼の言う通り、写生で描くのは、今日では勇気の要ることです。でも、写生でデッサンすることがあまりにも楽しいので、こうして絵画を続けています。
2026年3月 織田文昭
略歴
1977年 大阪大学文学部修士課程修了 2018年 清須市はるひ絵画トリエンナーレ優秀賞を受賞 2024年 上野の森美術館大賞展入選








