矢野直作品展 分解と合成 NAO YANO ARTWORKS Division and Composition
御挨拶
今回の作品展はここ5年で描いたアクリル絵画を集めたものです。 私は絵画制作にあたり、基本的に「喜び」と「楽しさ」を描く方針としています。私は初めての公募展応募に際し、意義あることをテーマとすべく「環境破壊を非難する絵」と「強者による弱者からの搾取を示す絵」を描きました。 しかし、出来上がったものは批判精神を表現できず、ほのぼのとした絵画となって完成しました。喜怒哀楽の「怒り」と「哀しみ」はテーマとして私には向いていないと理解し、以来「喜び」と「楽しさ」を描くようにしています。 今回の個展のタイトルは「分解と合成」です。最近、知ったのですが、バナナと人間の遺伝子はおよそ50%共通するという事に驚きました。遺伝子が共通する理由は、共通のアミノ酸やRNAなどを共有することで、生命が効率的に展開・拡大することが出来たからだそうです。生命体は生まれて、死んで分解され、そして新しい生命体となる仕組みが形成されたという事です。 その生命のプロセスの重要なポイントを「分解と合成」と理解し、それを最近の絵画表現の拠り所としました。絵画制作の背後に地球の生命の不思議があると思いながら、見て頂けたらば嬉しく思います。
2025年9月 矢野 直
■経歴
2015年第1回個展「別の世界と交差する町」ギャラリー縁縁:麻布十番2016年第2回個展「辺境の地へ」Art For Thought:銀座 2016年文芸社絵本大賞優秀賞受賞 2018年自由美術展入選 2018年から2025年103~109回二科展7回入選 2024,2025年春季二科S20号コンクール入選