江見絹子 生誕100年-「いのち」華やぐ
【展示概要】
「江見絹子生誕100年―「いのち」華やぐ」展を開催します。江見絹子(1923-2015)は行動美術協会で活躍しながら、1962年の第31回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展に日本人女性として初めて出品するなど、抽象絵画が興隆した1960年代の綺羅星のひとつとして注目を集めた画家です。その後も抽象表現を貫くとともに、神奈川県女流美術家協会の会長として地域の美術振興に一身を捧げました。
本展は9点の絵画からなるささやかな企画ですが、1950年から晩年までの江見絹子の画業を「いのち」をキーワードに振り返ります。身近な「いのち」の誕生と別れ、あるいは自然災害による大きな喪失、戦後の高度経済成長期に社会に吹き込まれた「いのち」、さらには、作品そのものの「いのち」の再生…さまざまな面からこれらの作品をご覧いただき、江見絹子の創作を将来に受け継いでいくべき共有の文化遺産としてご理解いただければ幸甚です。
2023年12月 江見絹子生誕100年実行委員会
展覧会に寄せて
母、江見絹子が誕生してから今年で100年になります。重厚な裸婦を得意とした若い画家は、フランス滞在を経て、抽象画へと大きく舵を切ります。その選択は時代の潮流と重なりましたが、いわゆるブームが去った後も、抽象画家であり続けました。彼女はカンヴァスをひとつの小宇宙に仕立てるために、他の表現手段を持ちませんでした。
江見絹子の100年を回顧することは、抽象画の可能性を問いかけることでもあると思います。今回の展覧会では、初期の代表作が修復を経て蘇りました。これが次なる100年に向けての一歩となりますよう、願っております。
2023年11月 荻野アンナ
江見絹子略歴
1923年兵庫県明石市生まれ。神戸市立洋画研究所に学ぶ。49年から行動美術協会展に出品。奨励賞、行動美術賞を受賞。51年上京。53年から2年間米仏に滞在。56年、58年にシェル美術賞を受賞、このころより抽象画に転ずる。62年ベネチア・ビエンナーレなど国際美術展に出品。70年代からは四大元素をモチーフにした宇宙的空間を描く作風で知られた。2015年逝去。長女は作家の荻野アンナ。
【関連イベント】
12月16(土)13時より、江見絹子の長女で作家の荻野アンナ氏のトークイベントを開催予定(事前予約制)。 詳細は実行委員会にメールにてご連絡ください。 kinukoemi.artist@gmail.com