- 描・染・版・織 -アートの彩り“今”展<コラボレーション>
主宰者ごあいさつ
風、土、海、・・・・生命、そして“今”へ向けて新たなアートを求めて。新鮮な“もの創り”への発見とドキドキ・・・・・
創造することは、オリジナリティーを生むことである。
身体を動かす、指や腕、足を使う。そして、時には悩み、自身を喪失する。
しかし、“創る”ことへの研鑽を決して妥協しない作家達からは沸々とエネルギーと多彩な感性が生まれる。
墨の流れる筆跡の“無”から有を生じる和紙へ、新しい空間美を求め続ける青木洋子氏。
バリ島の精霊の魂をダイナミックでビビットにバティックアート(ロウ染更紗)で描き染める荒井健氏。
時空を超えた無限の生命を、日本伝統の木版で摺る蓮尾力氏。
インドネシアスンバ島の藍や茜で染め、一本の糸から母なる命をモダンイカット(絣)で織りなす増山紀代氏。
この展覧会は、既存のジャンルを超えて大胆に、また繊細に新たな造形美と対峙する作品群のコラボレーションである。 “今”展が (株)銀座アートホールのご協力により実現したことに感謝し、ご高覧賜り、土や風、そして海や生命の漂いの“今”を感じていただければ幸甚です。
画廊ごあいさつ
一年の半分はインドネシアにあるアトリエで制作活動を続けている「染の荒井健氏(染色造形家)」の作品を中心に、「<描>墨の青木洋子氏(美術家)」、「木版の蓮尾力氏(版画家)」、「織の増山紀代氏(染織造形家)」と4人の作家が彩る競作展です。 染織の荒井健氏がいつも口ぐせの様に言っている「バイク・バイク」(インドネシア語で元気、元気)いっぱいの感性豊かな作品が並びます。それぞれ4つの会場でのすばらしいコラボレーションをご期待ください。
描
青木洋子 (美術家)
書くことと描くこと 私にとって書くことは描くことであり、描くことは書くことであり、祈りでもあります。 自然の一部としての私の呼吸が線として現れてくる。その線を層として重ねて行く。 何か、奥深い根本のところに行けそうな気がしているのですが…。線は悦びであり、哀しみでもあります。
1942年 岐阜市生まれ。
東京藝術大学 油画科卒業(牛島教室)
染 バリ島からのバティックアート
荒井健(染色造形家)
バリ島のバティックアート(ロウ染更紗)との出会い。それはドキドキの彼女発見である。 生命観溢れるカラフルな模様群、ビビットでエスニックな彩りに魅了されて現地の工房で制作を続けて10年余り。今回はバリ島の精霊の魂を大胆で鮮明に描き染めた広幅40mの作品からBaliの風や海を感じてください。
1941年 静岡市清水生まれ。
東京藝術大学 大学院美術研究科修了
版 木版
蓮尾力 (版画家)
版画はどうしても限られた色数で摺ります。多彩で自由な描画のような多色木版の可能性に辿りついたのが「パズル版」と「彫り進み版」の手法でした。エロスを含めた命の営み・生命の起源をテーマに、怪しくもおかしな幻想世界の作風に自ら戸惑い半ば呆れる心境です。
1942年 静岡市清水生まれ。
東京学芸大学 大学院美術科修了
織 スンバ島からのモダンイカット
増山紀代 (染織造形家)
スンバ島と日本のアトリエで制作。現地の藍と茜で染めた素材を、母なる命の神秘とアニミズムをダイナミックにモダンイカット(絣)で織りなす。’97年から連作している原初的でパワー溢れる生命力のファイバーアートな作品。
1941年 富山市生まれ。
東京藝術大学 工芸科卒業